みなし公務員は公務員ですか?

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「みなし公務員」とは、法律上の規定により、公務員ではない立場であっても、公務員と同様の義務や責任を課せられる人のことを指します。そのため、みなし公務員は正式な意味での「公務員」ではありませんが、特定の場面においては法律上、公務員と同様に扱われる存在です。

一般に「公務員」と言う場合、それは国家公務員や地方公務員といった、法令に基づいて正式に採用された職員のことを指します。例えば、都道府県庁や市役所、各種省庁で働く職員は、その採用試験や任用手続きが法に定められており、給与や身分も法律に基づいて保証されています。

一方、「みなし公務員」はその名の通り、「みなす(=仮にそうであると扱う)」という法律上の表現で、特定の職務や立場において「公務員と同等の責任・義務」を課される人を意味します。みなし公務員は、私企業や公的法人の職員であることが多く、給与も自治体や国から支給されていない場合が一般的です。

たとえば、以下のような人々が「みなし公務員」に該当します。

  • 民間の病院や施設で、公的な業務を委託されている医師や看護師
  • 選挙管理委員会から任命された民間の立会人や投票所のスタッフ
  • 国や自治体が出資する法人の職員(公営企業、指定法人など)
  • 学校法人に所属する私立学校の教職員(特定の状況下で)

こうした人々は、その業務の性質上、たとえば公文書を扱ったり、選挙や税務、住民の個人情報を取り扱ったりといった、高度な公的性格を帯びる仕事を任されています。

そのため、便宜上、または制度上、公務員と同等の守秘義務や職務上の責任を負う必要があるとされ、「みなし公務員」として位置づけられているのです。

代表的な法的根拠としては、刑法第193条〜196条にある「公務員に対する職権濫用罪」や「収賄罪」などの規定があり、みなし公務員もこれらの適用対象になります。
つまり、職務中に不正行為を行った場合は、正規の公務員と同じく刑事罰の対象となります。

また、公務員には「守秘義務」や「職務専念義務」、「政治的中立性」など、特有の倫理的制約が課されており、みなし公務員にも場合によってはこれらの義務が及ぶことがあります。
そのため、「みなし」とはいえ、一定の場面では非常に重い責任がある立場であると言えます。